私は今、「ふゆきん」「ふゆうさ」をはじめとするオリジナルキャラクターを生み出し、服や雑貨品を作っています。売り出したばかりの「トナカイは大人かい?トレーナー」は、さっそく3件のご注文をいただきました。
私が自分だけのキャラクターを描こうと思いついたのは、下記のような流れがあってのことです。
20代と30代の初期を、自分自身の闘病と家族の介護に明け暮れて過ごし、服を買う習慣から遠ざかっていました。その時期には、某衣料メーカーが開発したフリース生地の服が大流行し、それを着てさえいれば何とかなったので、服を選ぶ、おしゃれをするという感覚を長らく忘れていたのです。
やがて介護が落ち着き、自分のことを考えられるようになりました。でも、街に買い物に出ると、いったいどんな服を着るべきかが分からない感覚に陥りました。
そのうち「服に写真をプリントする」というサービスが流行し始め、誰でも簡単に、1枚からオリジナルの服を作れる時代が来ました。かつて、フリース生地の服を大流行させたメーカーが、この流れを生み出したのです。
「1枚しかない服を作れば、誰と比べられることもなく、安心だ!」
と気づいた私は、Web上のデザインツールを使い、いろいろな写真を服に配置しては喜んでいました。とはいえ「これをぜひ着てみたい!」と思えるような服は、なかなか生まれませんでした。
いっそのこと「自分で何か絵を描いて、それをプリントすればいいんじゃあ……?」と思い始め、Tシャツに「ふゆうさ」をプリントして売り出したのが、私の商品たち、そしてネットショップの始まりです。
毎日毎日の作業に追われて、将来のことなど考えられなかった20代を「空白」と表現してもいいのかもしれません。
でも、あの「空白」がなければ、私のオリジナルグッズは生まれなかったし、お客様にお買い上げいただき、喜んでいただく機会もありませんでした。
空白のように思える時間も決して無駄じゃないのだと改めて思います。
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